社会の教科書には、「ヒンドゥー教はシヴァ、ヴィシュヌ、ブラフマーの3神」
ってくらいしか書いてないけど、ホントはもっといろいろあるんですよ。
女神信仰ってのがその代表的なものの一つかな。
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▼女神様に対する信仰
女神に対する信仰というのは世界中にも多々あります。
キリスト教の聖母マリア様に対する信仰もおんなじようなもんです。
女性は子供を産むことからも、女神様は男性神よりも生と死に密着したイメージがあります。
母としての存在。子供を産み育てる神秘性、力。優しさ。
しかし逆に女性はすべてを破壊する力も持ちます。
インドには、世界は創造され、破壊され、また再生する。これを繰り返すという世界観があるです。
その一連の宇宙的な哲学の体現が、女神という生と死を内包した存在となる。
ま、簡単にいうと、 「女」としてのパワフリャなところや不思議なところを
昔の人は、ひっくるめて神様としてあがめたんでしょうな。
女神への信仰は人々の生活の中で、古代から脈々と受け継がれてきてたわけです。
インドも例にもれず、ヒンドゥー教という形ができるもっと古い時代から
地方の村にもそれぞれ村の守り神、女神様がいらっしゃったんです。
たとえば、子宝を授けてくれる神様や、病気を治してくれる神様や。
もちろん村によって名前も姿もちがう。
今でも同じ姿で信仰されている女神さまたちはたくさんいらっしゃいます。
この女神さまたちは、バラモンが始めたバラモン教がヒンドゥー教として土着の要素を盛り込んで成長していく過程で、どんどん取り込まれていきます。
特に関係が深いヒンドゥー教の神様は、シヴァさまです。
▼シヴァ神との関わり
なんでシヴァ様が女神様たちの旦那さんになったか、という説明は パールヴァティー様のところで紹介した神話ですね。 シヴァの昔の奥さんのサティーの死骸がばらばらになって落ちたところにそれぞれ女神が生まれた。 というお話。
これは、もともとその土地の女神様としてインドで信仰されてきた女神様たちを、すべて「シヴァ様の奥さんである」としてしまうことによってシヴァ信仰をより強く広めるためにつくられたお話だったりするんです。
シヴァ様は、肌の色も黒く、もともとのインドの土地のカミサマ(土着神)としての要素が強い存在。
シヴァ様のシンボルが男性器、つまりち○こ。である、ということからもわかるように
「男性パワー炸裂」。 の神様であります。
実は世界的に、パワフリャな男性パワー=子供たくさん、というように、ち○こも女神様信仰と同じくらい強烈に信仰されてたです。
日本にもありますよね。男根がお祀りしてある神社。
興味がある人は 「田縣神社」や「ちんこ祭り」で検索してみてください。
その存在を知らなかったひとはカルチャーショックをうけることでしょう。
ここにそのお写真やイラストを飾ることも憚られるような存在感を示されておられます。
話はそれましたが。
そんな彼の奥さんと見なされることで、村の女神様たちは異端と見なされず、
すんなりとヒンドゥー教に取り入れられていったんですね。
パートナーとしての女神様。 特に シヴァ様の性力パワー(シャクティ)を引き出す鍵となる
女神のパワーが重要視されていったんですんわ。
※このあたりの思想についてはタントリズムのところで詳しく述べています。
■シヴァ様のシャクティーの源とされる女神様たち。 マハーデーヴィー。
まあ、なんつうか、キてますな。この方々は。旦那も旦那ですから。
奥様たち、右に行くほどキレます。危険度UP。
パールヴァティー様が怒ってドゥルガー様が現れた。(二重人格)
ドゥルガー様が怒ってカーリー様が現れた(三重人格?)
どちらかというと後者2名、特にドゥルガー様のことを指すことが多いですが、
パールヴァティー様もふくめて シヴァ様のパワーの源としての奥様の存在を
「大女神」マハーデーヴィーとまとめてしまうことがあります。
ヒンドゥー教ではシヴァの奥様パールヴァティー様の怒った姿として表されるですが
ドゥルガー様カーリー様も、別々の神様だったところをシヴァの奥様として取り込まれたようです。
特に、後者2名、ドゥルガー&カーリー様は、「シヴァ様の奥様としての姿」はナッシング。
まとめてマハーデーヴィーと呼ばれ信仰されることもありますが、
この二人は結構好き勝手にやってるので、単独に信仰されてます。
それもかなりの信仰のされ方です。
カルカッタにあるカーリー寺院なんかは、ヤギを生け贄に捧げる寺院としてとっても有名ですね。
なぜ血を捧げるか。
女神様が血を吸うから、ってわけじゃなくて、「死」という事実を女神様に捧げる行為が
死を司る女神様への 供物という考え方なんでしょうね。
▼そのほかの女神様たち
■七母神
「七母神」というグループで、重要な男性神の奥様方をまとめて拝んじゃおう。
っていうよーなかんじです。
・ブラフマーニ(ブラフマーの妻)
・マヘーシュヴァリ(シヴァの別の姿、マヘーシュヴァラの妻)
・カウマーリー(クマーラの妻)
・ヴァイシュナヴィー(ヴィシュヌの妻)
・ヴァイラーヒー(ヴィシュヌの別の姿、ヴァラーハの妻)
・インドラーニー(インドラの妻)
タントリズムとも関係あり、 ドゥルガー様から生まれた女神様たち、とも言われていますが
それぞれヴィシュヌやブラフマー様の奥様の姿をとってます。
ネパールや場所によってはこの組み合わせのメンバーや数が変化するっぽいです。
■地方の女神様
一応シヴァ様の奥様という位置づけっぽい状態ではありますが、そんなことあんまりお構いなしに信仰されているような神様にマーリーアンマンという天然痘の女神がいたりましますね。
他にも色々いらっしゃるのですが紹介しきれないので、それぞれの神様情報はまたいつぞや追加します。
ながくなったんでこのへんで。んがくっく。
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