ひとことにインド神話といってもイロイロ。同じカミサマが生まれた話でも、いろんな説がたくさんあったりする。なんでこんなに節操ないんでしょうか。
▼ていうか、イロイロありすぎなんですが?
インドの神話は、ホント大変なんですよ。
どこが大変かというとですね、節操ないんですよ。同じカミサマの話でも、いろんな説があったりするんですよ。なんでそんなにごちゃごちゃしてるんでしょうか?
ヒンドゥー教ができていった経緯についてはここでお話しているのでまず参考にしてほしいんですが、
インドの神話というのはヒンドゥー教のカミサマをベースにしたものが基本だと考えてください。
とすると、ヒンドゥー教っていうのがまたクセモノなんですよ。
▼ヒンドゥー教のカミサマたちの流れを大きく分けるとこんなかんじ。
1) |
土着のカミサマ。動物、生殖器、女神崇拝。地方や村の神様など。農耕系。 |
2) |
「ヴェーダの神」・・・正統派→アーリア人の宗教「バラモン教」天空のカミサマ。狩猟系。 |
3) |
「叙事詩の神」・・・マハーバーラタ・ラーマーヤナ→実在した英雄譚&(1)と(2)がミックス |
4) |
「聖典(プラーナ)の神」・・・(1)と(2)がミックス。シヴァ様とかヴィシュヌ様とか神様賛美 |
1:「土着のカミサマ」
インダス文明の遺跡からは、動物崇拝やシヴァ様信仰につながる生殖器崇拝があったのではないかと推測される遺物が出土しています。あんまり昔のことなので具体的にどんな神様がいたのかは全然わからないし書物も残っていないのでアレですが、今のヒンドゥー教の神様たちができていくための基盤となる考えはあったみたいです。
南インドのほうでは土着の神様たちへの信仰がとても強く、女神様もシヴァの奥さんということにはなっていますが独立した神様として信仰されていたりします。
2:「ヴェーダの神様」。正統派
バラモン教の基礎になる聖典「ヴェーダ」でも 特にカミサマ万歳!な内容である「リグ・ヴェーダ」に登場するカミサマたち。あと、ヴェーダを元にした「ブラーフマナ文献」に登場するカミサマも。
→インドラ(雷神)、ヴァルナ(水天)、アグニ(火神)、ソーマ(月神)、スーリヤ(太陽神)等。
ここですでに、シヴァは「ルドラ」という嵐の神様、ヴィシュヌは太陽の光を表す神様としての原型がありました。あんまりうヴェーダでは重要な神様ではありませんでしたが。
3:「叙事詩の神」
ラーマ様やクリシュナ様が登場する「ラーマーヤナ」「マハーバーラタ」の物語に登場する神様たちのお話です。この叙事詩は単なる文学作品というわけではなく、ヒンドゥー教の文献として一番重要な要素。
「ラーマーヤナ」は桃太郎みたい。英雄ラーマ様が奥さんを悪魔にさらわれ、取り返しに悪魔が住む島に乗り込むお話。「マハーバーラタ」はバーラタ族の継承戦争の物語。クリシュナ様も登場します。
5世紀ごろには今あるような形にまとまったらしいですが、土着の要素も正統派の要素も含みつつ、ヒンドゥー教形成にとって重要な役割をはたしたのでございます。
4:「聖典(プラーナ)の神」
「プラーナ」とは今のヒンドゥー教の基礎となっている聖典。「第5のヴェーダ」とも。
ヒンドゥー教の大元はやっぱバラモン教の聖典「リグ・ヴェーダ」だけど、プラーナは
土着の要素や叙事詩の神の要素や生活規定なんかをより盛り込んだ、ちょっと庶民向けな聖典です。
なかでも「マハープラーナ」と呼ばれる18タイトルは、それぞれ「リンガ・プラーナ」「ヴィシュヌ・プラーナ」などタイトルとなっている宗派の聖典だったりします。
とまあ、大きく分けたらこんなかんじになるんですが。
ヒンドゥー教の場合、それぞれの聖典が作られるときにそれぞれの宗派の都合がいいように話をまとめているので、特に「プラーナ」あたりの内容と叙事詩の内容は異なることが多々あります。
かといって「内容が違うから修正しる!」と行ったことも起こらず、それぞれがそれぞれの神話を抱えていたので、同じカミサマの同じ話でも、どんどん違った内容が生まれているわけです。
また、それぞれ地方に行くと、地方のカミサマがいたりして、
その寺院用の「プラーナ」ってのが独自に作られたりしているのでよけい混乱するですが。
そりゃあ、つじつまがあわない罠。
まあけどそんなことあんまり気にしないっつうのがインドっぽいんだけども(笑)
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